お母さんたちのADHD子育て会談

病院を受診してみて

最初に病院に行ったのはいつ?

幼稚園のときですね。幼稚園で女の子に手が出たみたいで、その子のお母さんからいろいろ言われたことがきっかけでした。言葉も遅かったから、幼稚園の先生に相談して、療育センターを紹介されたんです。そこから病院を紹介されました。診察室でも置いてあるおもちゃに気がいって座っていられなくて、ADHD徴候があるって言われました。

うちも保育園からはしょっちゅう電話がかかってきました。やんちゃな子なんだろうくらいに思っていたんですが、参観で体育の時間を見たときに、自分の子が先頭きってかきまわしてるのがわかったんです。それで厳しくするべきなんだと思ってそうしたら、今度は子どもが無気力みたいになっちゃって、また保育園の先生に怒られて。

大変だったね。

つらかったです。それである日、お友達を叩いてしまって、先生が言ってもきかなかったってことで、呼び出されたんですね。それから何回か話し合いをもって、保育園が撮影したビデオも見せられました。それでも最初はどうしていいかわからなかったんですけど、いろいろ調べて療育センターに電話してみたら、病院を紹介されたんです。
そのときも、病院で問題ないって言われてそれを保育園につきつけてやるって気持ちだったんですけど、しっかり ADHD徴候があるって言われました(笑)。

そのときはショックだったでしょう。

子どもを連れて、ボロボロ泣きました。なんでこのかわいい子がって。

そこは私たちの世代と違うね。私たちの子どもが小さい頃は ADHDという概念がなかったから、ずーっと「育て方が悪い」って言われてきたのね。だから ADHDって診断されたときにホッとした。当時、小学3年生だったんだけど、ADHDの診断にたどり着くまでの年数が長かったから。それから ADHDとして薬物療法もするようになって、私も子どもも生活が楽になったところがある。

ADHDの子って赤ちゃんのときから上の子と違ったのよね。寝返りもまだなのにベビーベッドの柵にぶつかってるし、寝返りが始まろうものならすごい動く。同じように育ててるのになんでだろう、なんでだろうって思い続けて、「お母さんのせいじゃないですか」って言われ続けてたから、ADHDってわかったときは納得がいったというのが第一だった。どういうものかわかれば、周りの対応なり、薬物療法なりで手をうっていけるもの。

そうなんですね。うちはまだ4歳のときだったし、皆と変わらないって思ってたから、つらかったです。病院に通い始めて1年で、やっと受容できるようになってきました。

診断されるまで時間がかかると、自分を責め続けちゃうから、やっぱり早く受診してよかったと思うよ。

自分で調べて、理解できるようになってきたけど、最初はどうしたらいいかわからなかったです。

何でも相談してくださいって言われるんだけど、こちらから何を相談したらいいのかって難しいです。今は子どもが小さいから薬物療法はしていないですけど、将来の選択肢としてもっておくためにも、処方という話になる前にも情報がほしいですね。

二人ともそうだけど、今は療育センターから病院につながって、早期発見になってるからいいよね。経過を病院でみてもらっていれば、適切な時期に薬物療法も取り入れられるし。子どもがある程度大きくなっちゃうと、病院に行くのを嫌がる子もいるからね。子どもがそういう意識をもつ前に手立てをうてるっていうのはいいことだよ。

子どもは自覚してくるものなんですか?

小学校低学年の頃は皆がごそごそ動いてるからいいんだけど、小学3年生くらいから目立つようになって、それで本人も気づくよね。「僕はどこが違うの?」って聞かれる。そのときに親がどう答えるかって大切よ。

自分から聞いてくるんですか?

うちはそうだった。「僕は皆と同じようにやってるのに、なんで同じ結果にならないの?」って。私は、「それはあなたが苦手なところかもしれないね。でもこういういいところがあるじゃない」っていう答え方をしたかな。いいところがあるって必ず言うように心がけてる。

子どもは成長するにしたがって、いろいろわかるようになってくるから、子育てをしていると親も真剣に向き合わないといけないときが何回かある。そういうときに、隠したり、うろたえたりしたらだめで、逃げないで堂々と言わないといけないって学んだかな。

「いつ治るの?」って聞かれたときも、「病気は治るけど、障害は治らないんだよ」っていう話をした。「でもそれが、あなたらしさだよ」って。本当に、じっとしていられないところがその子らしさで、それがかわいかったりするから。

ちゃんと話すことが大切なんですね。なるほど。

医師からのコメント

子どもの言動が周囲に迷惑をかけ始めると、次第に母親だけが耐えて、心配しているだけじゃなくなってきますよね。ADHDのある子どもは、まったく悪気はないのに、周囲に課題を振りまいてしまいます。親のしつけと責められたり、親自身が自分を責めたりしてしまいます。その意味で「早い対応」が救いになるということが、お話からわかりますね。それと、診断がついた、対応が始まったからって安心できないこともわかりますね。子どもにこの事態をどう伝えるか、わかってもらうか、これは大きな課題です。僕は、「ちゃんと話すこと」「それが、あなたらしさ」「隠したり、うろたえたりしたらだめ」という言葉が印象的でした。

(こころとそだちのクリニック むすびめ 院長 田中 康雄 先生)

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