目的地に着く前に別のことが

ご紹介の症例は臨床症例の一部を紹介したもので、全ての症例が同様な結果を示すわけではありません。

自分自身を受け入れ、前向きに進めるようになりました

中村さん(仮名)の場合30代女性 (ADHD治療経過 約2年)

30代女性

中村さん(仮名、30代)は 2年前にADHDと診断されました。
子どものころに失敗しては怒られ続けた経験から自分に自信を持てませんでしたが、治療をはじめて以来、少しずつ自信がつき前向きに進めるようになったといいます。

物事をやり遂げられない。そんな自分が嫌いでした。

Q.クリニックを受診されたきっかけはなんでしょうか?

あるテレビ番組でADHDを特集していて、そこで紹介されていた症状のほとんどが私の行動そのものでした。その時に初めてADHDという病気があることを知り、私もそうなのではないかと思い受診を決意しました。ADHDのことを知るまでは、どうして私だけ何をやってもトラブルになるのだろうと悩みながら生きてきました。ADHDを知ってからは、これは私だけではないということをきちんとした形で認めて欲しいと思うようになりました。そこで、成人のADHDを診断してくれる医療施設をインターネットで探して、金沢こころクリニックを受診しました。

Q.今まで困ったトラブルはどのようなものでしたか?

これまでに困ってきたことをリストアップすると、用紙が真っ黒になってしまうほどたくさんあります。そのひとつが、何かをやり始めても途中で他のことに夢中になってしまい当初の目的を達成できないというものです。たとえば、何かを数える作業をしていると、数を唱えること自体に夢中になってしまい、いくつまで数えたかわからなくなったり、目的地を決めて出かけても途中で立ち寄ったところで別のことに集中してしまい、結局目的地にたどり着けなかったりということが頻繁にありました。休日の朝はその日の予定を色々考えますが、いったん携帯電話を触るとつい夢中になり、それだけで午前中が終わってしまうというパターンでした。

Q.仕事上はどのようなトラブルがありましたか?

朝、会社へ行く時間になっても他のことに気を取られ、出かける時間が遅くなることはしょっちゅうでした。仕事でも、必要な物を探し回って時間を無駄にしたかと思うと、今度は逆に不要なものを手にとったりするので、同僚に「余計な手順が入る」と指摘されていました。
こういう状況であったにもかかわらず、数年前に現場をまとめる立場になったので、作業がより複雑になり、物忘れや物事に集中できないといった症状にさらに悩まされるようになりました。子供のころから怒られてばかりで自分に自信がないので、職場でも自信を持って指示を出せないのです。
とっさの判断を求められることもありますが、いつも何か間違いを犯しているという気持ちがあるので自分の判断に確信が持てず、それが大きなストレスでした。どうして私だけこうなんだという思いでいっぱいで、自分のことが大嫌いでした。

ADHDと診断されて自分を許せるように

Q.子供のころはどのようなことに困っていましたか?

親と買い物に行った時に、道の向こう側にあるお店が気になると周りも見ずに飛び出してしまい危ない思いを何度もしました。親には兄弟と比較されて、「どうしていつもあなただけそうなの」と怒られました。
学校生活では、小学校から高校まで毎日のように忘れ物をしていました。当時は、私自身どうしてそういうことをしてしまうのかわかりませんでしたが、今思えばADHDの症状だったのだと納得しています。

Q.ADHDと聞いたときはどのように感じましたか?

普通の人ならがっかりすると思うのですが、私は救われた感じがしました。本当に自分が嫌いだったので自分を許せた気がします。家族からも「どうしてそんなに変わっているんだ」と言われ続けていたので、これは性格じゃなくて病気の症状なんだということがわかったときは本当にうれしかったです。

主治医の先生と薬の力を借りてもっと良くなる可能性に期待しています

Q.治療を始めてからどのように変わりましたか?

治療を始めてから、職場で朝の作業をする時に集中力が持続するようになったと感じました。ある作業を終えるまでの時間を同僚に測ってもらったところ、これまでに比べて 30 分も早く終えられるようになりました。私の感覚だけでなく、客観的な成果を確認できたことは大きな自信になりました。忘れ物もなくなったとまでは言えませんが、確かに減りました。主治医の先生からのアドバイスで携帯電話をメモ代わりに使うようになったことも忘れ物の対処法として効果的だったと思います。
このままいけば、仕事や生活の中での段取りがもっと自分の中に入ってくるだろうし、もっと改善する方向にいけるのではないかと感じています。私が私自身を評価していないところがあるので、まずは自分で自分を評価できるぐらいになれればいいと思います。先生の力を借りて、もっと良くなる可能性があるのではないかと期待しています。

Q.もし子どものころにADHDと診断されていたら?

小さいころから変わった子だと言われ続け、親にも否定されていると感じていました。もし子どものころに病気の症状だとわかっていたら、もっと早く自分自身を受け入れられ、もっと自分に自信が持てて、自分を好きになれただろうと思います。

変われる可能性がある。自分で一歩を踏み出して欲しい

Q.同じように悩まれている方へのメッセージ

もし自分がADHDかもしれないと思っている方がいたら、一緒に病気に向き合ってくださる先生を探して、ぜひ相談してください。自分で一歩を踏み出せば、前向きになれる、変われる可能性があると思います。おそらく、これまでずっと自分を否定してきた方が多いと思いますが、少しでも変われる可能性を求めて医療機関を受診してみて欲しいと思います。

Q.これからの夢は?

何の落ち度もなく、普通の人のようにひとつひとつ何かを成し遂げてみたいです。これまでは自分で自分にブレーキをかけて、自分で自分の足をひっぱっていましたが、本当は色んな困難や失敗を普通の人のように乗り越えていきたいと願っています。やろうと思ったことをやり遂げられる、そんな普通の人になりたいと思っています。

監修:
金沢こころクリニック 院長 浜原 昭仁 先生

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