最後までやり遂げられない

ご紹介の症例は臨床症例の一部を紹介したもので、全ての症例が同様な結果を示すわけではありません。

Bさん(40代,男性)の場合

私は小さいころは、山の中や田んぼを走り回ったりして、よく怪我をしていましたね。人と話をしていても、途中でころころ話が変わったり、新しいもの、珍しいものを見つけると興味をもってすごく集中するようなところがありました。でも夏休みの宿題なんかは最終日に急いでやって、残りは始業式に友達に写させてもらったりして、それで毎年「今年はやろう、今年はやろう」と計画を立てるんですが、最後までやり遂げることができないんです。

仕事は10 回ぐらい変わりました。ある会社でイジメにあって会社を辞めたときに、時間ができたので、「昔から自分はどこかちょっと違うな」と思っていたこともあって、心療内科を受診しました。そこでは強迫性障害とうつだと言われまして、「じゃあ今気分が沈みこんで辛い状態なのでカウンセリングを受けさせてください」といってカウンセリングを受けました。カウンセラーの先生に症状を話したところ、「ADHDって知ってますか?」と言われました。それから専門のお医者さんを紹介してもらい、そこで何回か検査を受けて、ADHDと診断されたんです。

私は頭の中がいつも忙しいんです。もう本当にいっぱいいっぱいでがんばってるのに、周囲の人から見ると根性がないように見えてしまうらしくて、「お前は結局辛抱が足らないからそういうことになるんだ」と言われていたんです。でも、ADHDと診断されて、「これでやっと認められた」と思いました。ずっとおかしいと思っていたことを解決できる道筋がやっと見つかったんだ、と思ってちょっと喜びましたね。まだまだいろいろこれからですが、がんばっていこうと思います。

監修:
奈良県立医科大学 医学部 看護学科 人間発達学 教授 飯田 順三 先生
一般社団法人 日本発達障害ネットワーク 理事長 市川 宏伸 先生
名古屋大学 大学院医学系研究科 精神医学・親と子どもの心療学分野 教授 尾崎 紀夫 先生
社会福祉法人恩賜財団母子愛育会 愛育研究所 愛育相談所 所長 齊藤 万比古 先生
こころとそだちのクリニック むすびめ 院長 田中 康雄 先生
一般社団法人 日本うつ病センター 理事長 樋口 輝彦 先生
東海大学医学部 専門診療学系精神科学 教授 松本 英夫 先生

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