< 診断について >
診断は適切な支援のための第一歩

診断の意義(成人期)

周囲の理解や環境が整っている場合、ADHDの症状がその人の個性として捉えられ、問題なく社会生活を送れますが、一方、大人になるまで未治療で周囲の理解がない場合は、どれだけ注意していてもミスを繰り返してしまう事で周りの評価が下がり、自分は能力がない人間だと思ってしまいがちです。

大人のADHDを持つ人は、社会や家庭での生活中で、多くの困難を抱えています。思うようにいかない日々を過ごすうちに、気分が落ち込んだり、能力以下の自己評価をしてしまうことがあります。

ADHDの診断は、社会的なサポートを受けるための第一歩です。自分の特性を理解し、生活を見直すことで悪循環から抜け出し、自分の個性に光をあてていくことができます。

コラム:ADHDは現代病ではありません

日本ではADHDは1990年代後半から社会的な注目を浴びるようになったため、新しい障害だと思われがちです。しかし、こうした特徴をもつ子どもたちは、実は100年以上前から報告されています。1902年にイギリスのある医師が、これは脳神経系の原因による病気ではないかという見解を示しました。そこからさまざまな紆余曲折を経て診断の手順などが整理され、今日に至ります。 日本では近年になってようやくその存在が広く知られるようになったのですが、注意力や集中力が不足しがちな子どもたちは昔からいたのです。 ADHDは現代病や文明病ではありません。

監修:
奈良県立医科大学看護学科 人間発達学 教授 飯田 順三 先生
東京医科歯科大学 精神科 非常勤講師 市川 宏伸 先生
名古屋大学大学院医学系研究科精神医学・親と子どもの心療学分野 教授 尾崎 紀夫 先生
鳥取大学 地域学部地域教育学科 教授 小枝 達也 先生
社会福祉法人恩賜財団母子愛育会 愛育研究所 愛育相談所 所長
齊藤 万比古 先生
こころとそだちのクリニック むすびめ 院長 田中 康雄 先生
一般社団法人 日本うつ病センター(JDC)理事長 樋口 輝彦 先生
東海大学医学部専門診療学系精神科学 教授 松本 英夫 先生
国立大学法人 筑波大学 副学長 宮本 信也 先生

診断を受けるには?

精神神経科にかかることが現実的

大人になって初めて診断を受ける場合は、精神神経科あるいは大人もみている小児科(小児神経科、小児精神科)に行くことになります。
ADHDは心の病気ではありませんが、心の病気を併発したり、心の病気だと誤解されやすいため、心のケアも大切です。

初めて受診するときに用意するもの

初めて受診するときには、日頃の行動や様子を具体的に記録したメモや書面を持参するようにしましょう。その際、子どもの頃の印象を家族に聞いておくとよいでしょう。
また、小学校の通知表など、幼少期の様子がわかる資料を用意したり、こちらの大人のADHD症状チェックリストにチェックをし、印刷持参すると、診断の参考になります。

診断の流れ *1

主に問診によって進められます。医師の質問に答えながら、自分の悩みや意見を伝えましょう。

現在の状況の確認

悩んでいる事、生活の様子、得意な事、ほかの医療機関にかかっているか。など

これまでの経緯の確認

こども時代の話、家族がみてきた印象、過去の病歴。など

身体検査や心理検査、生理学的な検査

別の診断名との鑑別がおこなわれる

ひとまずの診断がくだされる

成育歴などがわからない場合、すぐには診断名が出ない場合がある

診察は続く。
あとになってADHDと判別する場合もある

*1 田中康雄 監修:大人のAD/HD【注意欠如・多動(性)障害】, 講談社(2009) より改編

監修:
奈良県立医科大学看護学科 人間発達学 教授 飯田 順三 先生
東京医科歯科大学 精神科 非常勤講師 市川 宏伸 先生
名古屋大学大学院医学系研究科精神医学・親と子どもの心療学分野 教授 尾崎 紀夫 先生
鳥取大学 地域学部地域教育学科 教授 小枝 達也 先生
社会福祉法人恩賜財団母子愛育会 愛育研究所 愛育相談所 所長
齊藤 万比古 先生
こころとそだちのクリニック むすびめ 院長 田中 康雄 先生
一般社団法人 日本うつ病センター(JDC)理事長 樋口 輝彦 先生
東海大学医学部専門診療学系精神科学 教授 松本 英夫 先生

受診時のお役立ちシート

お医者さんに今の状態を正確に知ってもらうために、子どものころの成育歴を整理して持っていくと、診断の参考になります。
診断を受ける前の状況整理に、ぜひお役立て下さい。

このお役立ちシートは診断用ではありません。

子どものころにしばしばみられた症状をチェックしてみましょう

12歳以前の症状をチェックしてみましょう。

  • 細かいことに注意ができない、または学校での学習やそのほかの活動で不注意なミスをしてしまう
  • 課題や遊びのあいだに集中し続けることが難しい
  • 直接話しかけられても、聞いていないように見えるといって注意される
  • 学校の宿題やお手伝いなど、指示されたことをやりとげることが難しい
  • 課題や活動を順序よく行うことが難しい
  • テストや宿題のような根気がいる課題をさける、またはいやいや行う
  • 課題や活動に必要なものをなくしやすい
  • 周りからの刺激で気が散りやすい
  • ほかの人より忘れっぽい
  • 手足をそわそわと動かしたり、いすの上でもじもじしてしまう
  • 授業中など、座っていなければいけないときに、立ちあがってしまう
  • 動きまわってはいけない状況で、落ち着かない
  • 遊びやクラブ活動中におとなしくしていることが苦手
  • じっとしていることが苦手
  • おしゃべりしすぎることがある
  • 質問が終わる前に答えてしまう
  • 順番を待つことが難しい
  • ほかの人が話しているところに割り込んでしまう

(DSM-5のAD/HD診断基準より改変)

子どものころや、中学、高校時代を
思い出してみましょう

子どものころや、中学、高校時代を思い出してみましょう

どのようなことがありましたか。

幼稚園、保育園のころ
いつごろ どこで どんな様子だったか
例) 4歳 例) 保育園 例) みんなとお遊戯できず、1人で好きなことをしていた
小学校低学年のころ
いつごろ どこで どんな様子だったか
例) 7歳 例) 教室での授業中 例) よく歩き回って先生に怒られた
小学校高学年、中学校、高校のころ
いつごろ どこで どんな様子だったか
例) 13歳 例) 体育館で部活中 例) 集団行動できず、友達とよくけんかをしていた
つらかった思い出、失敗体験
理解してくれた人たち、よい経験

受診時のお役立ちシートは、下のボタンから、PDF ダウンロードできます。
ぜひ受診前の状況整理にお役立て下さい。

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奈良県立医科大学医学部看護学科 教授 飯田 順三 先生
東京医科歯科大学 精神科 非常勤講師 市川 宏伸 先生
名古屋大学大学院医学系研究科精神医学・親と子どもの心療学分野 教授 尾崎 紀夫 先生
社会福祉法人恩賜財団母子愛育会 愛育研究所 愛育相談所 所長
齊藤 万比古 先生
こころとそだちのクリニック むすびめ 院長 田中 康雄 先生
一般社団法人 日本うつ病センター(JDC)理事長 樋口 輝彦 先生
東海大学医学部専門診療学系精神科学 教授 松本 英夫 先生

ADHDと診断されたら

集中して話が聞けない、金銭の管理ができない、忘れっぽい、よくしゃべる、体の一部を動かす、思いつきをすぐ言動にうつす・・・。こういった特徴は誰にでもあることです。
大人になって初めて診断を受ける際に、こうした特徴の程度が非常に強い、あるいは頻度が並外れて高いなどで生活上大きな支障があると判断される場合、ADHDが疑われます。

ADHDと診断される方はこうした症状に子どもの頃からずっと悩まされています。
多くの方はご自分なりの工夫や対策を考えて努力していますが、それにもかかわらずなかなか状況が改善されません。そのため、自分自身を責めたり、本人が怠けている、悪気があってやっている、あるいは親の育て方のせいといった非難や誤解にさらされたり、つらい状況に置かれがちです。しかし、ADHDは本人の努力不足や、家族のせいではありません。
ADHDと診断されても、ご自分の特性を正しく把握し、適切に対応することで、生活を改善していくことができます。周りの人に協力してもらいながら、少しずつ自分にあったやり方をみつけましょう。

監修:
奈良県立医科大学看護学科 人間発達学 教授 飯田 順三 先生
東京医科歯科大学 精神科 非常勤講師 市川 宏伸 先生
名古屋大学大学院医学系研究科精神医学・親と子どもの心療学分野 教授 尾崎 紀夫 先生
鳥取大学 地域学部地域教育学科 教授 小枝 達也 先生
社会福祉法人恩賜財団母子愛育会 愛育研究所 愛育相談所 所長
齊藤 万比古 先生
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東海大学医学部専門診療学系精神科学 教授 松本 英夫 先生
国立大学法人 筑波大学 副学長 宮本 信也 先生