ADHDとは?

大人のADHDといっても、大人になってから初めて出現するものではありません。不注意、多動性、衝動性という3つの症状に、子どもの頃からずっと悩まされており、多くの人は自分なりの工夫や対策を考えて努力していますが、それにもかかわらず、状況が改善せず大人になり、うまく生活することができず困っているのです。

ADHDの症状の変化

監修:*1

多動性

  • 子どもの症状
  • 大人の症状

落ち着いて座っていることが難しい

貧乏ゆすりなど、目的のない動き

遊びやレジャー活動におとなしく参加することが難しい

落ち着かない感じ

衝動性

  • 子どもの症状
  • 大人の症状

質問が終わらないうちに出し抜けに答えてしまう

思ったことをすぐに口にしてしまう

欲しい物があると激しくダダをこねてしまう

衝動買いをしてしまう

不注意

  • 子どもの症状
  • 大人の症状

勉強などで不注意な間違いをする

仕事などでケアレスミスをする

必要なものをなくしてしまう、忘れっぽい

忘れ物、なくし物が多い

興味のあることには集中しすぎてしまい切り替えが難しい

時間管理が苦手

課題や活動を順序だてて行うことが難しい

仕事や作業を順序だてて行うことが苦手

特にお困りの症状があれば、この表のような言葉で医師に説明すると伝わりやすいでしょう。

ただ、こうした症状がある人がすべてADHDというわけではありません。ADHDに似た症状を示す障害は他にもあるため、最終的な診断をくだすためには、他の障害や病気ではないことを確認する必要があります。

また、ADHDに他の障害や病気が合併していると、ADHDの症状が見極めにくくなったり、治療効果や将来に影響を及ぼしたりする可能性があるため、合併症の有無も適切に診断する必要があります。

ADHDの治療は、環境調整などの心理社会的治療から始めます。心理社会的治療の効果や、周囲との状況から判断し、必要であれば薬による治療を組み合わせていきます。

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症状・特徴は?

監修:*1

ADHDの症状は、個人によっても違いますし、環境によってもあらわれ方が異なります。ここでは、日常生活の場面ごとにおける、ADHDの症状のあらわれ方の例をご紹介します。

場面ごとのADHDの症状

多動性が原因で起こりやすいこと

  • 職場や学校で
  • 家庭で
  • 人間関係
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衝動性が原因で起こりやすいこと

  • 職場や学校で
  • 家庭で
  • 人間関係
チェックリスト

不注意が原因で起こりやすいこと

  • 職場や学校で
  • 家庭で
  • 人間関係
チェックリスト
  • 多動性
  • 衝動性
  • 不注意
職場や学校で
  • 貧乏ゆすりや机を指先で叩くなどのくせがやめられない
  • 会議中や仕事中(授業中や勉強中)に落ち着かず、そわそわしてしまう
家庭で
  • 家事をしているのに、別のことに気を取られやすい
  • おしゃべりに夢中になって家事を忘れてしまう
人間関係
  • おしゃべりを始めると止まらない
  • 自分のことばかりしゃべってしまう

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職場や学校で
  • 会議中(授業中)に不用意な発言をしてしまう
  • 周りに相談せずに、独断で重要なことを決めてしまう
家庭で
  • 衝動買いしてしまう
  • 言いたいことを我慢してイライラする
人間関係
  • 衝動的に、人を傷つけるような発言をしてしまう
  • ささいなことでもつい怒ってしまう

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職場や学校で
  • 会議や仕事(授業や勉強)に集中できない
  • 仕事(課題)に必要なものを忘れたり、ミスが多い
  • 仕事(課題)の締め切りに間に合わない
家庭で
  • 部屋が片付けられない
  • 外出の準備がいつも間に合わない
  • 家事や金銭の管理が苦手
人間関係
  • 約束の時間にいつも間に合わない
  • 約束を忘れてしまう
  • 人の話を集中して聞けない

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  • 多動性
  • 衝動性
  • 不注意

大人になってからADHDと診断される人は、こうしたADHDの症状に子どもの頃からずっと悩まされています。多くの人は自分なりの工夫や対策を考えて努力していますが、それにもかかわらずなかなか状況が改善されません。そのため、自分自身を責めたり、本人が怠けている、悪気があってやっている、あるいは親の育て方のせいといった非難や誤解にさらされたり、つらい状況に置かれがちです。

ADHD Q&A

監修:*2、*3

ADHDに関する不安や疑問にQ&A形式でお答えします。

  • Q1.ADHDは他の国にもあるのでしょうか?

    • A. 世界のさまざまな国での調査によって、ADHDはどの国でも一定の割合で存在することが確認されています。日本で特別に多いというわけではありません。参考までに、世界各国のADHDの頻度を紹介します。

      DSM-Ⅳの診断基準によるADHDの有病率(小児・思春期)*2
      報告者(年) 国名 対象者
      (人)
      年齢 方法 有病率
      Canioら(2004) プエルトリコ 1,897 4~17 児童と両親に対する面接 8.0%
      Benjasuwantepら(2002) タイ 353 小学生 教師と両親による質問票 6.5%
      Wolraischら(1998) 米国 4,323 小学生 教師による質問票 6.8%
      Baumgaertelら(1995) ドイツ 1,077 5~12 教師による質問票 17.8%
      Pinedaら(2003) コロンビア 330 4~17 教師と両親による質問票 11.3%
      Sawyerら(2000) オーストラリア 3,579 4~17 両親に対する質問票と面接 11.2%
      Kambayashiら(1994)* 日本 1,022 4~12 保護者への質問紙 7.7%
      *:DSM-Ⅲの診断基準使用
      ・ADHDの有病率 5.29%(一般的には 3~7%と言われています)。
      ・女児よりも男児に多く発症。
      ・小児期にAD/HDと診断された患者のうち約50~70%は成人期に至っても症状が持続しているといわれています**

      **Barkley RA:"ADHD―Long-Term Course, Adult Outcome, and Comorbid Disorders"Attention Deficit Hyperactivity Disorder:State of The Science Best Practices Jensen PS, et al. ed. Civic Research Institute:4-1- 4-12, 2002
  • Q2.大人になって初めて診断を受けます。どこに行けばよいでしょうか?*3

    • A.現在、診療が可能なのは精神神経科です。大人の発達障害の専門医は少ないため、多くの場合、一般の精神神経科などを受診して治療を受けます。紹介できる専門医があれば、紹介される場合もあります。
  • Q3.大人のADHDでは、何かのサポートを受けることができるのでしょうか? *3

    • A.<具体的な対策を知りたい場合>
      発達障害者支援センターや地域療育センターは、家庭や職場など、日常生活のさまざまな相談に応じてくれます。
      自治体の福祉担当窓口は、福祉相談のほかに、障害者手帳の申請についても聞くことができます。発達障害者に対する独自の手帳制度はありませんが、療育手帳や精神障害者保健福祉手帳の交付基準に該当する場合、手帳の交付を受けることができます。各自治体により対象者が異なる場合があるので、お住まいの福祉担当窓口にお問い合わせ下さい。

      <仕事について相談したい場合>
      地域障害者職業センター、ハローワークでは、就職に向けての職業準備支援や、就職先の紹介などを頼むことができます。また、職場へのジョブコーチ※の派遣も行っています。
      ※ジョブコーチ:発達障害がある人に、仕事の進め方を実践的に指導する役割です。
      (すべての施設で対応を行っている訳ではございません。お近くの施設に直接お問合せの上、ご確認ください。)

      <話を聞いてほしい場合>
      民間の支援団体、家族会では、当事者同士の情報交換や、経験者からのアドバイスを聞くことができます。
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監修:
*1
奈良県立医科大学 医学部 看護学科 人間発達学 教授 飯田 順三 先生
一般社団法人 日本発達障害ネットワーク 理事長 市川 宏伸 先生
名古屋大学 大学院医学系研究科 精神医学・親と子どもの心療学分野 教授 尾崎 紀夫 先生
社会福祉法人恩賜財団母子愛育会 愛育研究所 愛育相談所 所長 齊藤 万比古 先生
こころとそだちのクリニック むすびめ 院長 田中 康雄 先生
一般社団法人 日本うつ病センター 理事長 樋口 輝彦 先生
東海大学医学部 専門診療学系精神科学 教授 松本 英夫 先生

*2
吉益光一 他: 日本公衆衛生学雑誌, 53:398-409(2006)
Kambayashi Y: Child Psychiatry Hum Dev 25:13-29(1994)
Polanczyk G: Am J Psychiatry, 164: 942-948(2007)

*3 田中康雄 監修:大人のAD/HD【注意欠如・多動(性)障害】 講談社(2009)

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