苦手なこと難しいことは?

ADHD の主な症状は「不注意」、「多動性」、「衝動性」です。これらの症状があるために、ADHDではない子にとっては当たり前のようなことも、ADHDの子にとっては苦手であったり難しかったりします。

不注意に関連すること

核となること

  1. ひとつのことに集中するのが難しく、集中力が長続きしません。
  2. 周りの刺激に気をとられやすく、すぐに気がそれてしまいます。
  3. 忘れっぽく、よく物をなくします。

それはこうした形で
あらわれることがあります

学校の勉強などで、細かいところまで注意を払わなかったり、不注意な間違いをしたりする
単純な計算ミス、ケアレスミス、文章を書くときに先のことを考えていて字が抜ける、“点”や“はね”など細かいところまで注意を払わない、問題文を最後まで読まない、など。
課題や遊びの活動で注意を集中し続けることが難しい
途中で注意がそれて投げ出したり、ゲームなどの自分の順番を忘れてしまったりする。
好きなこと、興味のあることなどには集中しすぎてしまい、切り替えが難しい
話しかけても気づかない、中断するのが難しい、など。
面と向かって話しかけられているのに聞いていないように見える
自分の好きなことを考えていることが多いためボーっとしているように見える、相手への注意を払わない、他の方向を見る、他の内容の話をする、など。
課題や活動を順序だてて行うことが難しい
計画が立てられない、いろいろなことに手を出して優先順位がつけられなくなる、課題の手順がわからない、など。
同じことを繰り返すのが苦手
漢字を繰り返し覚えるなどコツコツ努力することが苦手であったり、面倒くさがって最後までやらず、あきらめてしまったりする。
課題や活動に必要なものをなくしてしまう、忘れっぽい
上履き、縦笛などを道に忘れてしまう、鉛筆・消しゴムなどを何度もなくす、持ち物の管理ができない、確認をしない、物(宝物なども含め)を大事にするという意識がない、物を置いた場所を覚えていない、部活動の時間を忘れる、部活動があったこと自体を忘れる、など。
注意が長続きせず、気が散りやすい
音や声などに敏感に反応する、目に入ってきた刺激にすぐ興味を示す、いつもいらいらしている、など。

こうした過度の不注意は、「ワーキングメモリー」※という脳の機能が十分に働いていないためだという考えもあります。

※ワーキングメモリー:現時点で行っていることや思考していることの短期的な記憶です。すぐ使えるように一時的に保持している情報で、例えば「お母さんは5 時からご飯を作る」「頼まれたおつかいはニンジン」というワーキングメモリーから、「もう4 時半なので急がなければ」という判断ができます。私たちはこのワーキングメモリーの働きによって、自分が置かれた状況を把握し、判断することができます。しかしADHD の場合、このワーキングメモリーが十分に働いていないために、現時点での自分の状況を客観的に分析できず、その場に適した行動につなげることができないと考えられています。

多動性に関連すること

核となること

  1. 無意識に体が動き、それを抑えられません(体の多動)。
  2. おしゃべりを自分でコントロールできません(口の多動)。

それはこうした形で
あらわれることがあります

授業中など、座っているべきときに落ち着いて座っていることが難しい
立ち歩き、他の子の邪魔をする、気になることがあるとすぐそちらに行ってしまう、自分の思いが先に立つ、座ってはいられても我慢していてつらい、立ち歩きたいのを我慢していてそわそわしているように見える、姿勢が悪い、姿勢の保持ができない、授業中にずっと落書きをしている、など。
遊びや余暇活動におとなしく参加することが難しい
力の入れ方がわからず過激になる、夢中になりすぎ周りが見えなくなる、場が読めない、すぐにふざける、など。
過度にしゃべる
一方的にしゃべる、しゃべりだすと止まらない、声も大きい、大人同士の会話に割って入る、話の内容がころころ変わる、先生の話を聞いて自分の頭に浮かんだことをしゃべる、授業中に勉強のこと以外でもそのとき思ったことなどを友達にしゃべり続ける、など。

多動の症状は、意図的ではなく、動いていないと気分的に落ち着かなく感じることもあり出てくるものです。無意識のうちに、つい体が動いてしまい、それを抑えることができないのです。多動性は一般的に、成長とともにおさまる傾向があります。しかし思春期以降も、じっとしていることはできるが、じっとしていると落ち着かない気分になってしまう、という感覚をもつ人は少なくありません。

衝動性に関連すること

核となること

  1. 自分の感情を抑えることが苦手です。
  2. 自分の発言や行動を抑えることが苦手です。

それはこうした形で
あらわれることがあります

質問が終わらないうちに出し抜けに答えてしまう
手を挙げるのを忘れる、指名されていないのに答えてしまう、思ったことや知っていることを言わなければ気がすまない、最後まで聞かず思い込みでしゃべることが多い、など。
順番を待つのが難しい
横から割り込む、待つ時間が長く感じられる、1 番にこだわる、やりたいという思いが強いためにルールを無視してしまう、など。
他の人がしていることをさえぎったり、邪魔したりする
人が手に持っているものが気になると触らずにはいられない、周りが見えていないため大声で自己主張し、自分が最初にやろうとする、など。

思いついた行動について、行ってもよいか考える前に実行してしまうのが衝動性です。一瞬立ち止まって考えるというブレーキがききにくいために起こるのではないかと考えられています。

こうした「不注意」、「多動性」、「衝動性」に基づく行動は、非常に誤解を受けやすいものです。意図的に相手を困らせようとしてやっているのではなく、ADHDの発達特性に起因するものであるということを周囲の方に理解してもらえるよう、根気よく説明していきましょう。

監修:
社会福祉法人恩賜財団母子愛育会 愛育研究所 愛育相談所 所長 齊藤 万比古 先生
白百合女子大学 発達心理学科 教授 宮本 信也 先生

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